景品はあなた |
頭脳派の面々が場をじっと見る。 『へぇ、軍師が本領発揮する遊びですかね、これは』 『ふむ…』 初回という事で皆今回は互いの手札を見れる状態になっているが、通常遊ぶ時には互いの手札を想像しながら遊ばねばならないわけで、相当頭を使うゲームだ。 「こうやってそれぞれが順繰りに札を出していって、自分の手持ち札を最初に無くす事を目指すのが、 「ほうほう」 口で説明しながら、皆自分の手持ちを場に切ってゆく。 「うのじゃ」 そうこうするうちに、秀吉の手持ち札が1枚になった。 「今回は説明する為のお試し回なので、このまま秀吉様には上がってもらいましょう」 「了解した」 さくさくと手番は周り、利家の番になったが利家には出せる札がなかった。 「この札は全てに対応できる札なので出せますが、『弐』と『肆』の代用は出来ません。 「分かった」 「ほい、上りじゃ!」 「はい、一巡終了しました。勝者は秀吉様です、お疲れ様でした」 本戦をやるのだろう? と言わんばかりに皆が場に手札を出してじゃかじゃかと掻き回しだした。 「次からは遠慮なく本気でやりますので、皆さんもそのつもりでよろしくお願いします」 「よっしゃ! 負けねーぞ」 「左近も参加、いいですかね?」 手にした湯呑を置いて、左近が参戦を表明した。 「いい塩梅で混ざりましたかねぇ」 全員で札を混ぜて、まずは1回通しでやってみようという話になった。 「うのじゃ!」 各自の手札を伏せて普通に楽しむ事数回。 「ねぇ、ちょっと待って。利家さんと秀吉様、もしかして組んでる?」 「おかしくないですかね?」 「え?」 「いやいやいや、ないないない」 と左近から突っ込まれた二人は否定するが、無言でじいっと二人を見ている幸村も吉継も清正も同じ意見のようだった。 「利家さんは組んでるつもりはないかもしれないけど、秀吉様はなんか利家さんの手札とか性格を読んでる気がする」 「席替えを要求します」 の独白に幸村が乗っかった。 「しゃあないのう」 秀吉が立ち上がっての隣に移動し、利家の隣に吉継が移動し、清正がと三成の間に移動した。 「これでええじゃろ?」 「異論ありません」 ゲーム再開だと、何度目かの札のシャッフルが始まる。 「よしよし、いい勝負になって来たな」 接戦が続くようになったせいか、秀吉以外が楽しそうだ。 「くぁ〜〜!! 皆してわしばっか狙い撃ちしとるじゃろ!!」 「いやいやいや、誤解ですって」 「さっきまで1人で5回も6回も勝ち逃げしてたんだから別にいいじゃないですか」 秀吉の泣きを皆が皆受け流す。接待プレイなどという単語は彼らの頭には全くなかった。 「次から私も良いか」 「どうぞ、どうぞ」 知恵者だけあって見てるだけではつまらなくなったのかな? と思ったのはだけだ。 「…えーと…次はこうして……」 名だたる名将達との札遊びを満喫するだったが、官兵衛が参戦してから何故か戦績が奮わなくなった。 「ちょ、、お前そこはしっかり秀吉様を牽制しろよ」 「えー、だって官兵衛さんのせいで模様変えられたから出せるカードないし! 無理言わないでよー」 「流れを変えないとまた秀吉様が持ち札1枚になるぞ」 「おいおいおい、誰か止める奴はいないのかよ」 「のーほっほっほっほ〜。悪いのぉ〜、皆の衆〜」 「くっそー!」 段々との口数が減ってゆく。 「模様を変える、竹だ」 清正の番を経て、の番になる。 「らっきー! はい、秀吉様にプレゼント!」 『弐』を切ったら秀吉が苦笑いで山から札を2枚取った。 「りばーす」 三成が場の流れを変えて、それぞれが手札を切る。 「はい、こっちもリバース」 の番になってが『逆』の札を切ったら秀吉が唸った。 「かぁ〜! ここでわしに回ってくるか〜〜〜! 手持ちが増えるのう」 ウノの宣言をしたのに、秀吉の手持ち札が5枚に増えていた。 「ふふふ、負けませんよ〜!」 いい勝負になって来たと、の顔はほこほこしている。 『ん…?』 『あれ??』 『なんだこの違和感』 『これって…もしかしなくても……』 『そういう流れか…』 、秀吉の二人が気が付いていない違和感を、利家、幸村、清正、左近、吉継が気取った。 「『肆』を出す。模様は太陽」 官兵衛が仕掛けて、皆が手持ちにある『弐』と『肆』を切った。 「ひゃ〜〜! 凄まじい数になるのう」 「俺ぜってー、こんなん引きたくねぇ」 秀吉が大げさに嫌がり、見学席の正則も同調した。 「うっそ…ヤバいって! 20枚突破しちゃう」 の顔が俄かに強張った。 「……持ってない」 三成が舌打ちして山から20枚の札を引いた。 「三成さんお疲れ〜」 「すぐに巻き返して見せる」 「いや、流石にその枚数は無理だろ」 正則の言葉を三成は涼しい顔をして受け流した。 「もう一回やろうぜ」 「ですね〜」 「、虎屋へ行かなくても良いのか?」 「お茶の時間はどうした?」と吉継に聞かれたが、は現在のメンツで繰り広げる手応えのあるウノにすっかり魅せられてしまったようだった。 「それは今日は別にいいや。誰かと約束してるわけじゃないし」 「そうか」 「あ、でも皆さんとか…道場の方々の都合が悪いかな?」 の声に師範代は「4時までなら道場の貸し出しは自由だ」と返答した。 「くっそー、官兵衛さんはやっぱり強いですね…何が出てくるか全く分からないや」 「全くじゃのう…誰か官兵衛の快進撃を止める者はおらんのか!」 「いや、勝率5割以上の秀吉様にそんなこと言われても…」 軽快な会話を交わしながら秀吉もも楽しそうだ。
|